第一章:サラリーマンを取り巻く不動産投資の環境
これまで不動産投資は、多額の自己資金がなければできない、または地主のように土地を所有している人でなければできないと考えられていたため、一部の富裕層や地主にしかできないものであると思われていました。しかし、不動産投資に対して金融機関が融資をするようになったことや、投資用不動産を取り扱う不動産会社が誕生したことを契機に投資用不動産が盛んに取引される時代になりました。これらの背景から、不動産投資がこれまでよりも身近なものになり、サラリーマンにも不動産投資ができる時代になりました。したがって、これからはサラリーマンこそ不動産投資をすべきであるうえ、不動産投資によって資産形成を優位に進められる時代になったともいえるのです。
それでは、なぜサラリーマンこそ不動産投資をすべきなのでしょうか。そして、なぜサラリーマンが不動産投資において優位な立場なのでしょうか。
まとめ
・金融機関からの融資や投資用不動産を扱う会社の誕生により、不動産投資がサラリーマンにも身近な存在になった。
・そのような環境下の現在だからこそ、サラリーマンこそ不動産投資を行うべきである。
第二章:サラリーマンが不動産投資を行うには
そもそも不動産投資とは、賃貸用不動産を購入し、それを貸しに出すことで賃料収入を得る、または値上がりしたタイミングで売却して売却益を得るというものです。したがって、サラリーマンに限らず、不動産投資を行うにはまず物件を購入するところから始まります。そして、その方法として以下に述べる2つのパターンがあります。そのいずれの選択肢をとるかは自己資本の量や社会的信用の高さによって大きく左右されます。この点、サラリーマンは安定した給与所得があるうえに、金融機関からの社会的信用が得てして高いため、いずれの選択肢もとりやすいのです。
パターン1:現金で購入
小さい区分マンションや地方の戸建であれば数百万円以下のものもあるため、現金で購入するという投資家もいます。現金で物件を購入するメリットは、借入をせずに購入できるため決済までの手続を迅速に行える点、毎月の返済がないため余裕をもって投資を行える点、キャッシュフローを確保できる点です。一方、デメリットとして、手元の自己資本がなくなるという点があります。不動産投資は数百万円ないし数億円規模の投資になることが多いため、それだけの自己資本を一気に投下することはリスクにもなり得ます。突発的な資金需要に備えて、一定の自己資本は手元に残しておく必要があります。
そこで、以下に述べる融資という方法を活用すれば、自己資本を手元に残したうえで外部資本による投資ができ、投資効率を高めることに資するのです。
パターン2:融資を受けて購入
上述のように数百万円の物件であれば現金でも購入しやすいですが、一棟アパートやマンションの場合は地方であっても数千万ないし数億円単位の投資になります。したがって、多くの投資家は金融機関からの融資を受けることになります。融資を受けて購入することのメリットは、手元の自己資本を残しつつ外部資本で投資ができる点がその最たるものです。その結果、投資効率が上がり、資産形成のスピードも速くなるのです。
このような観点から、不動産投資を行う際は融資を受けて行う方が賢明といえるでしょう。
まとめ
・不動産投資とは、賃貸用不動産を購入し、それを貸しに出すことで賃料収入を得る、または値上がりしたタイミングで売却して売却益を得るというスキームである。
・現金での購入と融資を受けての購入という2パターンの購入方法が存在する。
・不動産投資は投資額が高額になる場合が多いため、手元に自己資金を残しておくという観点から融資を受けて購入する方が賢明である。
第三章:サラリーマンであることの3つの優位性
不動産投資におけるサラリーマンの優位性とは、安定した給与所得がある点、将来の所得額が予測しやすい点、金融機関からの融資を受けやすい点という3点です。つまり、現金購入においても融資を活用しての購入においてもその優位性が発揮されるということです。一棟アパートやマンションへの不動産投資においては投資額の観点から、金融機関からの融資を受けることになる場合が特に多いと上述しました。金融機関からの融資を受けるに当たっては当然のことながら融資審査が必ずあり、これを通過する必要があります。そして、この融資審査を通過するうえでサラリーマンであることが非常に有利に働くことになります。なぜなら、金融機関は貸し出した金銭の返済の安全性を融資審査の基準にしており、サラリーマンは金融機関が求めるその基準を満たしやすいからです。そして、融資を受けやすいという点は不動産投資における最たる優位性といえます。
優位性1:安定した給与所得がある
国税庁の民間給与実態統計調査によれば、2018年分の全給与所得者の平均年収は441万円です。そして、直近10年の統計を見てもおよそ同金額帯で推移しています。すなわち、給与所得者に含まれるサラリーマンの給与所得は安定的なものといえます。
一方で、自営業者やフリーランスは一般的に収入がサラリーマンと比べて不安定である傾向があり、倒産や廃業によって収入がゼロになるリスクも大きいのです。当然、サラリーマンにも倒産やリストラのリスクはありますが、毎月一定の給与を得られることによる経済的な安定性があるのはサラリーマンの優位性の一つです。
優位性2:将来の所得額が予測しやすい
一般的にサラリーマンの場合は年功序列で、年齢とともに給与が増える傾向があります。したがって、数年ないし数十年後の所得額をある程度予測しやすいといえます。借入をする投資家の立場としても、将来の自分の所得から逆算してどの規模までのローンを組めるかという予測が立てやすくなるのです。
加えて、将来の所得が予測しやすいということは金融機関が融資審査をするうえでも非常にプラスの材料といえます。なぜなら、不動産投資における融資は最長で45年で組まれることもある長期の貸し出しであるためです。すなわち、年功序列で所得が上がっていくのであれば、返済の安全性は年々強固なものになるということです。
優位性3:金融機関からの融資を受けやすい
上記項目でもサラリーマンは融資審査において金融機関が求める基準を満たしやすいと述べました。ここで、金融機関が融資審査をする際の基準について言及します。
その基準とは大きく分けて、個人属性・物件の担保価値・物件の収益性の3点です。後者2点については専ら投資する物件に関する項目であるため、サラリーマンとしての優位性が最も現れる「個人属性」に焦点を絞ります。個人属性とは、勤め先の企業(上場の有無、資本金、財務の健全性など)や年収、勤続年数、金融資産(現預金や株式、無担保の不動産など)といった事柄です。
この点、サラリーマンは上述のように勤め先の企業から毎月安定的に給与を得られ、勤続年数とともに所得も増えます。加えて、所得の増加により可処分所得として現預金が増えることも見込めるうえ、企業によっては持株会や財形貯蓄といった制度もあるため金融資産を増やしやすい環境にあります。
したがって、上記の基準に照らすとサラリーマンは返済の安全性が担保されやすいという観点から、融資審査において有利な立場といえるのです。
以上3点から、サラリーマンは長期的に安定している所得によって可処分所得を作りやすいため小規模な物件を現金で買い進めることもできるうえ、社会的信用性が高いため金融機関からの融資を活用して大規模な物件を購入することもできるのです。物件購入時においてとれる選択肢の幅の広さがサラリーマンとしての優位性といえるのです。
まとめ
・サラリーマンには、安定した給与所得がある点、将来の所得額が予測しやすい点、金融機関からの融資を受けやすい点という3点の優位性がある。
・現金での購入も融資を受けての購入もしやすいサラリーマンは、不動産投資において優位である
第四章:サラリーマンこそ不動産投資を検討すべき3つの理由
融資を伴うことが多いという不動産投資のスキームおよび融資を受けやすいというサラリーマンの優位性に鑑み、サラリーマンこそ不動産投資を検討すべき理由は3点あります。具体的には、融資というレバレッジを利かせされる点、競争相手の少ない市場で投資ができる点、確定申告で節税ができる点という3点です。
そして、これらはいずれも不動産投資のスキームおよびサラリーマンとしての優位性を活かしたものであると同時に、株式や債券といったアセットではなく不動産を投資対象として選ぶべき理由でもあります。
理由1:融資というレバレッジを利かせられる
融資を受けるということは、外部資本で投資を行うことができるため、投資におけるレバレッジを利かせることができるということです。そもそも、レバレッジとはテコの原理を指します。そして、投資におけるレバレッジとは、融資をはじめとする外部資本を用いて経済活動を行うことで、自己資本に対する利益率を高めることをいいます。言い換えると、テコの原理のように小さな自己資本で大きな投資を行うということです。
例えば、5,000万円分の金融資産を購入するに当たって、レバレッジを利かせられなければ5,000万円分の現金が必要になります。一方で、不動産投資のようにレバレッジを利かせることができるのであれば、5,000万円分の不動産の購入に際して、数万円ないし1,500万円を自己資本とし、残りの金額を融資で賄うことで購入できるのです。これによって、資産形成のスピードを速めることができます。なぜなら、外部資本を使ったことによる余剰の自己資本を他の投資に回すことができるためです。
したがって、資金を効率よく投資するということにも資するのが、レバレッジの利いた不動産投資の優位性といえます。
理由2:競争相手の少ない市場で投資ができる
金融機関からの融資を前提とする不動産投資市場においては、投資用不動産を購入できる層が限られています。なぜなら、融資には必ず審査があり、その審査においては社会的信用や収入の安定性が考慮されるためです。そして、安定的な給与所得があるサラリーマンはその限られた層に入りやすいため、証券口座を開ければ万人に参入可能な株式や債券といった市場よりも競争相手の少ない市場で投資ができるのです。そのメリットとして、優良な物件や掘り出し物を購入できるチャンスが多くなるということがあります。
不動産取引市場においては物件情報がクローズに出回ることも多々あるため、物件を買える人、すなわち、融資を受けられる人に優先的に物件情報が入るという場合も往々にしてあるためです。この点は株式や債券といったオープンに情報が出回っている市場と大きく異なる点であるといえます。
理由3:確定申告で節税できる
不動産投資においては事業にかかった費用を経費として計上できる仕組みがあります。例えば、物件を視察する際の交通費、不動産業者との打ち合わせの費用、金融機関に支払う金利、建物の減価償却といったものです。
この中でも減価償却費は実際に出費を伴うものではなく、帳簿上のみに計上される経費であるため、効率的に申告上の所得を圧縮することができるのです。減価償却費とは建物や付帯設備の経年劣化を毎年の経費として計上するものです。
したがって、投資する物件の規模や築年数、構造(木造、RC造など)にもよりますが、一定期間に渡って毎年数百万円単位の大規模な経費計上も可能になるのです。なお、減価償却費には計上できる期間が予め決まっており、永続的に計上し続けることはできない点は要注意です。減価償却費以外の費用については実際に出費を伴うものなので、資金効率の観点からすると大きなメリットがあるとは言い難いですが、減価償却費については帳簿上のみの経費であるため、メリットの大きい節税手段といえます。サラリーマンは自営業者やフリーランスと異なり、経費を計上して所得を圧縮できないため、所得税や住民税といった所得に応じてかかる税金をコントロールするのが非常に困難です。そこで、不動産投資というスキームを利用することで一定期間に渡って合法的に所得を圧縮し、税金に対して無防備であるというサラリーマン特有のリスクを軽減できるのです。一方、節税ができる投資として、不動産投資の他にiDeCoやNISAなどもありますが、これらによる節税は運用益に対する非課税制度のみであったり、実際に積み立てた金額の範囲内のみであったりするため、効率的な節税という観点からすると不動産投資による節税には劣ります。
以上のように、社会的信用の高さや収入の安定性という強みを最大限に活かし、融資というレバレッジの利いた投資を行えるのがサラリーマンなのです。それに加えて、節税という副次的なメリットも得られるという点からもサラリーマンと不動産投資は相性が良いといえます。したがって、サラリーマンこそ不動産投資において優位な立場であり、不動産投資をすべきなのです。
参考資料:国税庁(賃貸収入がある人)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/shoto315.htm
まとめ
・サラリーマンこそ不動産投資を検討すべき理由は、融資というレバレッジを利かせされる点、競争相手の少ない市場で投資ができる点、確定申告で節税ができる点という3点である。
・サラリーマンは税金対策をしにくいため、合法的に節税することにも資する不動産投資はサラリーマンとの相性が良い。
第五章:不動産投資が身近になった現代における資産形成のために
以上のように、サラリーマンこそ不動産投資を検討すべき理由について、サラリーマンであることの優位性の観点を中心に述べました。不動産投資が地主や富裕層のみのための投資ではなく、サラリーマンにも行える現在において、不動産投資は資産形成を加速度的に行うための非常に有効な手段です。自己資本を手元に残しつつ外部資本で投資ができるというのは非常に合理的な手法であるといえます。安定的な収入と高い社会的信頼性を利用して貯蓄と投資の両輪で着実に資産を増やしていければ、将来の不安の払拭や経済的な安心、ひいては、人生における安心を得られます。読者の皆様が不動産投資を通じて豊かな人生を送っていただければ幸いです。
まとめ
・不動産投資を行うことで資産を加速度的に増やすことができる。
・サラリーマンの安定的な収入と高い社会的信頼性という優位性によって資産形成を優位に進めることができる。