第四章:運用シミュレーション

貯金0円で年収400万弱の普通の会社員がマンション4戸所有できた理由を大公開
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不動産投資の概要をご理解いただいたところで、実際の運用シミュレーションをしてみたいと思います。

今回は属性の異なる3パターンの方をそれぞれ想定しています。なお、いずれの方も不動産投資は未経験で、購入する物件は大都市圏の区分マンションという想定で進めます。

購入対象を大都市圏の区分マンションと想定するのは、副収入として賃料収入を求めて不動産投資を始める方が最も多いという仮定のもと、そのような方が最も安全かつ安定的に保有し続けられるのが大都市圏の区分マンションであるためです。

加えて、最後に実例として私が実際に不動産投資を始めた時の詳細を包み隠さず共有させていただきたいと思います。

また、それぞれがいくらの融資を受けられるかは、年収や金融資産、リスク許容度(年齢や家族構成)、既存のローン残高といった要素を複合的に勘案したうえで決定されます。本章では分かりやすくするため、一般的な融資可能金額の上限である「世帯年収の10倍」程度を基準としてそれぞれの個別事情により増減させるという考え方をとります。なお、金利については一律3%という前提で話を進めます。

そして、それぞれの融資枠の中でどのように物件を購入し、その結果として毎月いくらのキャッシュフローおよび売却時の利益が出るかをシミュレーションしていきます。

シミュレーション1

年齢:42歳
職業:会社員
年収:600万円(世帯年収700万円)
預貯金:200万(自宅購入の際に頭金として歳出したため現金預金は少なめ目)
家族:妻(パート勤め)・子供1人(小学校低学年)
住居:東京郊外持ち家一軒家(ローンあり)

<借入および購入状況>
・借入金額:4000万円
※住宅ローンの残債があり、養育費が10年以上かかり続けるため満額融資額の半分弱のバッファーをもたせる
・融資期間:35年
・金利:3%
・購入物件:3800万円
 ※購入手数料(物件価格の10%)込み
・余剰資金:200万円
 ※空室や突発的な修繕に備え、借入金の5%を余剰資金としてプールしておく
・実質利回り:6%

<運用結果>
・年間賃料収入(管理費等経費控除後):228万円
・年間返済金額:175万4917円
・年額キャッシュフロー(税引前):52万5083円
 ※月額:4万3757円
・空室率(10%)および入退去に係る費用、毎年の納税のため、キャッシュフローの20~30%を余剰資金としてプールしておく
※空室率は、契約期間満了(2年間)の度に解約があるものとし、次の賃借人が決まるまでの期間を2ヶ月程度と見積もる
※入退去に係る費用は、原状回復費、仲介業者への客付報酬を指す

<売却時>
・購入から10年後に売却すると想定
・売却価格:3420万円
 ※経年により、10%の価格下落を想定
・残債務:3100万円
・売却益:320万円

<ポイント>
住宅ローンや養育費が今後もかかることを加味して、リスクを抑えた規模での運用をしております。家族があり、年齢的にも若くはないので、余裕をもった運用プランを描くべきタイプです。残ったキャッシュは、今後の買い増しというより生活費の補填や貯金に回すべきであると考えられます。

シミュレーション2

年齢:34歳
職業:会社員
年収:500万円
預貯金:400万円
家族:一人暮らし
住居:都内1DK賃貸(賃料6万円)

<借入および購入状況>
・借入金額:60004万円
※住宅ローンもなく、扶養家族もいないこと、今後も年収が伸びる見込みがあるため可能な限りのリスクをとって借入をする
・融資期間:35年
・金利:3%
・購入物件:6000万円
 ※購入手数料(物件価格の10%)込み
・余剰資金:なし
 ※預貯金が十分にあるため借入金からはプールせず、全額を物件購入に回す
・実質利回り:6%

<運用結果>
・年間賃料収入(管理費等経費控除後):360万円
・年間返済金額:277万921円
・年額キャッシュフロー(税引前):82万9079円
 ※月額:6万9090円
・空室率(10%)および入退去に係る費用、毎年の納税のため、キャッシュフローの20~30%を余剰資金としてプールしておく
※空室率は、契約期間満了(2年間)の度に解約があるものとし、次の賃借人が決まるまでの期間を2ヶ月程度と見積もる
※入退去に係る費用は、原状回復費、仲介業者への客付報酬を指す

<売却時>
・購入から10年後に売却すると想定
・売却価格:5400万円
 ※経年により、10%の価格下落を想定
・残債務:4900万円
・売却益:500万円

<ポイント>
年齢が若いうえ、扶養家族のいない会社員であるという属性から、可能な限りリスクをとった運用をしております。年収も預貯金も十分にあるので、強気な攻めの運用ができるタイプです。今後も収入アップに応じて追加で融資を受けて物件の買い増しを検討することも十分に可能です。

シミュレーション3

年齢:50歳
職業:自営業
年収:1500万円
預貯金:1000万円
家族:妻(専業主婦)・子供2人(既に自立)
住居:地方持ち家一軒家(ローンなし)

<借入および購入状況>
・借入金額:1億円
※住宅ローンもなく、子供も既に自立しているため出費は比較的少ない方である。一方で、本人の年齢および自営業者であるという点も加味して大きなリスクは取らない。
・融資期間:25年
・金利:3%
・購入物件:1億円
 ※購入手数料(物件価格の10%)込み
・余剰資金:なし
 ※預貯金が十分にあるため借入金からはプールせず、全額を物件購入に回す
・実質利回り:6%

<運用結果>
・年間賃料収入(管理費等経費控除後):600万円
・年間返済金額:569万536円
・年額キャッシュフロー(税引前):30万9646円
 ※月額:2万5789円
・空室率(10%)および入退去に係る費用、毎年の納税のため、キャッシュフローの20~30%を余剰資金としてプールしておく
※空室率は、契約期間満了(2年間)の度に解約があるものとし、次の賃借人が決まるまでの期間を2ヶ月程度と見積もる
※入退去に係る費用は、原状回復費、仲介業者への客付報酬を指す

<売却時>
 相続税対策も兼ねているので、基本的に売却は考えません。一方で、相続後に相続人ら
が売却をすることになった場合をシミュレーションします。

・購入から30年後に売却すると想定
・売却価格:8000万円
 ※経年により、20%の価格下落を想定
・残債務:なし(完済)
・売却益:8000万円

<ポイント>
比較的高齢であるため、借入期間を25年として75歳でローンを完済するスケジュールを組んでおります。また、不動産投資をする目的としては、引退後の生活資金の足しにするということに合わせて相続税対策も視野に入れるべきです。このタイミングで不動産投資をしておくことで、子供に資産を残せると同時に相続にかかる税金を抑えることもできるようになります。

シミュレーション4(当サイト運営者の実例)

実例(当サイト運営者自身が融資を受けたときの状況)
年齢:29歳(弊社転職1年目当時)
年収:400万円弱
預貯金:なし
家族:一人暮らし
住居:社宅(賃料2万5000円)

<借入および購入状況>
・借入金額:3000万円
・融資期間:20年
・金利:1.3%
・購入物件:3000万円
 ※購入手数料(物件価格の10%)込み
・余剰資金:なし
・実質利回り:6.64%

<運用結果>
・年間賃料収入(管理費等経費控除後):184万7880円
・年間返済金額:180万6330円
・年額キャッシュフロー(税引前):4万1550円
 ※月額:3462円

<ポイント>
私が融資を受けたのは2015年であり、その時はまさに不動産投資に対して金融機関も積極的に融資を行い始めたようなタイミングでした。その追い風もあり、まだ転職1年目の私でも低金利で融資を受けることができました。私の場合は毎月のキャッシュフローよりも、残債務を早く減らすことを重視していたため、金利が低く、融資期間を短く設定できる金融機関を選びました。したがって、毎月のキャッシュフローは微々たるものですが、その分残債務の減りがとても早いので非常に満足しております。

今後の私の戦略としては、売却はあまり考えておらず、残債務が大きく減ったタイミングで預貯金を使って繰上げ返済をするということを考えております。そうすると、毎月の賃料が全て手元に残るという状況を作り出すことができます。

一方で、物件が経年劣化するという懸念材料もありますが、この点についてはそこまで心配しておりません。なぜなら、共用部は定期的な大規模修繕によって機能維持ができるうえ、専有部は随時私の判断でリノベーションによるバリューアップができるためです。すなわち、現代の工事技術をもってすれば築年数が経過した物件でも価値を維持し続けることが十分に可能なのです。

まとめ

シミュレーションについて、いかがでしたでしょうか?年齢や家族構成といった諸事情によってどの程度のリスクをとった運用ができるのか大きく変わってくるということがお分かりいただけたかと思います。

皆様も不動産投資を始められる際は、まずご自身のリスク許容度および入口と出口(いくらで買って、利回り何パーセントで運用し、いくらで売却するか)を事前にしっかりと描くことを強くお勧めします。

不動産投資はこれらの点を地図とコンパスとして持っておけば、大きな失敗を比較的避けやすい投資対象であると私は考えております。ついては、本シミュレーションが皆様の投資検討の一助になれば幸いです。

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